の近似値
既に取り上げていた実写版「探偵学園Q」のアニメ版の話を見てみよう。実写版で取り上げられていたのは、積分方程式の問題であり、その分析で発覚したのは、天草リュウの答案にはかなりひどい点が見受けられることと、担当の数学教師が彼の答案の明白な誤りに気が付かないでいるということだった。
さて、アニメ版第29話には実写版と同様のシーンがある。しかし使われていた問題はまったく別のものだった。
下の英語字幕を見れば分かるように、この問題は東大理系入試問題レベルだと宣言されている。
ところが、問題文をよく読むとすでに問題自体がおかしな記述になっている。
最初に、区間Iの点をひとつ選ぶ。このとき区間Iの点は任意に選んでよかったはずなのに、4行目に
ただしは充分に小さいものとする
これは最初にのとり方を任意にとしていたことに矛盾している。
問題文の冒頭4行で提示されている事実は、「テイラーの定理」と呼ばれているもので、高校生の知識でもかろうじて証明することは可能だろう。しかし、4行目の注釈は不要である。区間I上の任意ので良い。この定理の主張していることは、
ととの差がになる
ということである。大雑把には、が大きければ差は大きくなるし、小さければ差は小さくなるわけである。*1
さて、問題からして不適切だったわけだが、披露される天草リュウの答案はどうであろうか。
(続く)
*1:の項はのとり方に応じて大きさが変わるので、この書き方は厳密ではないが。