2007年度大学入試センター試験が行われた。
第2日終了後の深夜、大手3予備校がセンター試験の予想平均点速報値を発表した。
まずは、1/26日のセンター発表の中間集計値と速報値の比較から。
科目 | 中間集計 | 河合塾 | 駿台 | 代ゼミ |
---|---|---|---|---|
英語筆記 | 131.09 | 129 | 127 | 115 |
リスニング | 32.48 | 33 | 34 | 35 |
国語 | 109.94 | 115 | 116 | 118 |
数学IA | 54.04 | 55 | 55 | 52 |
数学IIB | 48.94 | 52 | 53 | 57 |
物理I | 64.41 | 66 | 62 | 67 |
化学I | 61.35 | 63 | 64 | 67 |
生物I | 67.04 | 68 | 67 | 68 |
地学I | 62.42 | 60 | 61 | 60 |
世界史B | 67.75 | 69 | 65 | 68 |
日本史B | 67.02 | 69 | 67 | 60 |
地理B | 58.41 | 61 | 61 | 62 |
現代社会 | 50.32 | 55 | 54 | 57 |
倫理 | 69.67 | 70 | 69 | 71 |
政治経済 | 64.41 | 66 | 63 | 65 |
この表を見てみると、英語筆記、数学IIB、国語、現代社会で各校とも大きく平均点を読み違えていることが伺える。(なかでも代ゼミが酷いことは一目瞭然である。)この予想平均点速報値は、全国の受験生の動向が判明していない時点で公開されたものであり、これが中間集計の値と大きく食い違うということは、「受験生のレベル」と「試験問題の難易度」の少なくとも一方を大きく読み違えていることになる。
例えば、英語筆記では、いくつか形式の変化が見られる内容を過大に評価し、新傾向に適応できないだろうと読んだ代ゼミの予想は大きくはずれた。受験生は新傾向に惑わされず、内容的に易化した問題をに確実に得点したことは、130点をこえた平均点からもうかがえる。
他方、国語では、3社とも昨年に比べて難化すると読んだが、実際には、平均点の減少幅は各社の予想を大きく越えていたことがうかがえる。漢文の難化が指摘されたが、それ以上に小説の出来が悪化したことが予想される。平均点が109台だと2003年や2001年の101〜102点台、1999年の107点台に次ぐ難しさであったことになる。(1999年といえば、あの「眠れる分度器」の出題された悪名高き年である。)今年の国語は、現場の教師たちの予想以上に小説の出来が悪かったのではないか。
数学で見ると、難化の報じられた数学IAの予想平均点は概ね妥当な値なのに対し,数学IIBの平均点が大きく読み違えていることがわかる。これは、数学IAが難化したために受験生の側がかなり疲弊した効果もあるだろうが、同時に、出題の内容が現場の予想以上に過重だったためではないだろうか。第2問で3次関数に踏み込み、さらに接線の傾きをtanの加法公式でとらえる内容や第4問のベクトルの内容は、明らかに今までのセンター試験とは異質な融合問題であった。誘導がついているとはいえ、中堅私大の2次試験的な内容であり、文系受験生には厳しかったのではないだろうか。
これ以外にも、化学Iや現代社会で読み違えが見られる。
化学Iの場合は、数学IA、数学IIBと受験した受験生の疲弊が主要因ではなかろうか。(京都周辺の医学部を受験する生徒は、生物I、数学IA、数学IIBと受けた後の化学I、物理Iであり、相当の苦痛が伴うであろうことは想像に難くない。)
既に速報値はネット上のコンテンツとしては削除されてしまっているが、各社の値を比較してみることで、いわば予備校の質はもちろんのこと、現場の感覚と実際の受験生の得点の相違もうかがい知ることが出来る。