(摂南大学)─その3:蜘蛛の巣図法─

1999年摂南大学工学部の数学入試問題

f(x)を実数を係数とする多項式とする。実数aに対し、a_1 = aから以下帰納的にa_{n+1}=f(a_n)で数列\{a_n\}を定める。このとき、f(\alpha)=\alphaであることは、\lim_{n \to \infty}a_n=\alphaであるためのどのような条件か。下から選べ。
(1)必要十分条件である。
(2)必要条件だが十分条件ではない。
(3)十分条件だか必要条件ではない。
(4)必要条件でも十分条件でもない。

の続きである。今回は、a_{n+1}=f(a_n)の形で定義される数列の振る舞いを図を用いて理解する方法である「蜘蛛の巣図法」を紹介しよう。

まずは、その1でもとりあげた数列a_1=0,a_{n+1}=\sqrt{a_n+2}の振る舞いを蜘蛛の巣図法を用いて考えてみよう。

まず、a_1=0であるから、x=0y=\sqrt{x+2}のグラフの交点を考える。交点のy座標がa_2である。次にa_3をきめたいのだが、a_2y軸上にしかプロットされていないのでは困る。そこで、直線y=xに関して対称移動し、x軸上にa_2の値をプロットする。そのためには、y=a_2y=xの交点を考える。そのx座標がa_2である。続いてx=a_2y=\sqrt{x+2}の交点のy座標を考えれば、a_3がプロットできる。これをy=xに関して対称移動し、x軸上にa_3の値をプロットする。以下これを繰り返していく。その図が上の図になる。

この図を眺めながら、a_10以外の値に取り替えてみる。すると、a_1 \gt -2であるようなどんな値を選んでも、やがて2という値に近づいていくことが図形的に納得できるだろう。